<#7 マネジメントの組織>
「マネジメント 基本と原則」の要約を各章ごとにまとめています。
要約 |
基幹活動の分析-(組織の軸となるもの)
① 「組織の目的を達成するには、いかなる分野において卓越性が必要か?」 ② 「いかなる分野において成果があがらないとき、致命的な損害を被るか」 ③ 「わが社に重要な価値は何か」 との問いに答える。 |
貢献分析
同一の貢献を果たす活動は、技術的な専門分野のいかんにかかわらず、同一の部門にまとめ、 同一のマネジャーの下に置くこと。同一の貢献を果たさない活動を一緒にしてはならない。 |
決定分析
意思決定の権限や責任を与えるために、意思決定そのものを分類しておく。 意思決定は、常に可能なかぎり低いレベル、行動に近いレベルで行う必要がある。 同時に意思決定は、それによって影響を受ける活動全体を見通せるだけの高いレベルで行う必要がある。 |
関係分析
活動相互間の関係の分析。これによって組織単位の位置づけを決定できる。 活動間の関係を最小限に絞り、致命的に重要な関係は、円滑・密接・中心的な関係としなければならない。 また、活動間の関係は重要な意味のあるものだけに限らなければならない。 |
悪い組織
組織に重大な欠陥があるとき、もっとも多く現れる症状。 ① マネジメントの階層が増加する。 ⇒組織の原則は、階層の数を少なくし指揮系統を短くすること。 ② 組織構造に関わる問題が頻繁に発生すること。 ⇒問題の解決は、正しい分析以外にない。 ③ 人の関心を、就業態度・礼儀作法・手続き・縄張り等に向けさせること。 ④ 大勢の人間を集める会議を頻繁に開かざるをえなくなること。 ⇒理想的な組織とは、会議なしに動く組織である。 ⑤ 人の感情や好き嫌いに気を使うようになること。 ⇒人が過剰な組織では、成果は生まれず仕事ばかり増える。 ⑥ 調整役や補佐役など実際の仕事をしない人たちを必要とするようになること。 ⇒活動や仕事が細分化されすぎている証拠。 ⑦ 常にどこかで組織改革を行っている。 |
五つの組織構造 ・ すべての仕事は三通りの方法で組織できる。① 仕事は段階別に組織できる。 ② 仕事は機能別に組織できる。 ③ 異なる技能や道具を持つ人たちが一つのチームとして動く。 < 職能別組織> ① 組織の明快さに優れ、誰もが自らに与えられた課題を理解する。 ② 成果よりも技能に重点をおいているから、自らの職能を最も重要と考え、マネジメントに適さない人間をつくる。 ③ 本当の意思決定を行えるのは、組織全体のトップ以外の者ではありえない。 ④ 適用は、現業の仕事に限られる。 <チーム型組織>-特定の仕事を果たすためにともに働く人の集まりである。 ① リーダーがいる。しかし、実際にチームを指揮するものは、仕事の段階や要求によって変わっていく。 ② エネルギーの相当部分が、単に仕事を進めることに費やされる。(会議、コミュニケーションなど) ③ チーム型組織の最大の限界は規模にある。メンバーの数が少ない時は有効に働く。 ④ 組織の中の人間の拠点としての職能別組織と、仕事の場としてのチームの双方を使い分ける。 ⑤ トップマネジメントの仕事、イノベーションのための仕事に最適である。 <連邦分権組織>-組織はいくつかの自立した部門に分割できる。 ① 自立した部門は、それぞれの業績と組織全体の貢献に責任を持ち、独自のマネジメントを持つ。 ② 市場において成果をあげるうえで、最適な事業部門をつくる。 ③ 最大の利点は、明日を担うリーダーの育成にある。 ④ 本社のトップマネジメントから独立した自治的な存在でなければならない。 ⑤ その自治は、全体の業績を上げるための手段に過ぎない。 ⑥ 全体が共通のビジョンを持つ必要がある。 <疑似分権組織>-事業でないものを事業であるかのように組織する。 ① 分権化した組織単位に独自のマネジメントを持たせ、疑似的な損益について責任を持たせる。 ② 成果は、帳簿価格や費用配分の仕方によって、大きくも小さくもなる。 ③ 疑似分権組織は最後の手段である。
<システム型組織 > ① 構成単位は、多種多様な組織と個人である。 ② 組織の目的が明確でなければならない。 ③ コミュニケーションについて、構成単位のすべてが責任を持たなければならない。 ④ 構成単位のすべてが、自らの目標以外のことにも責任を持たなければならない。 ⑤ 組織構造として望ましいものとはいえない。適用は困難である。
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総論 |
組織の健康を判定する基準は、構造の美しさ、明快さ、完全さではなく、成果であるといっている。
成果を達成するための組織の在り方を理解するところがスタートだ。組織の在り方を理解し、そのうえで具体的なマネジメントへの落とし込む、これは常に考えながら経験を積むことが精度を上げることに繋がるだろう。 |
<著書紹介>
感銘を受けた著書を紹介
マネジメント 基本と原則 | |||
発売日 | 2001年12月 | ||
出版社 | ダイヤモンド社 | ||
ピータードラッカーの「マネジメント 基本と原則」の要約を以下で紹介してます。日本語と英語でまとめているので是非ご覧ください。 |
<経済人物紹介>
私が、著書を通じて思想や人物像に感銘を受けた経済にかかわりをもつ人物を紹介
項目 | 説明 |
名前 | ピーター・ドラッカー(Peter Drucker) |
生まれ | 1909年11月19日 オーストリア・ウィーン生まれ |
死没 | 2005年11月11日(95歳没) |
職業 | 経営学者、社会学者 |
出身校 | フランクフルト大学 |
著書 | 『経済人の終わり――新全体主義の研究』 1939年 『現代の経営(上・下)』1954年 『マネジメント――課題・責任・実践』1974年 『イノベーションと企業家精神――実践と原理』1985年 ・・・etc その他多数の著書あり |
思想・人物像 | ユダヤ系だったドラッカーは、ナチスの勃興に直面し、古い19世紀的ヨーロッパ社会の原理が崩壊するのを目撃し、危険を悟りイギリスを経てアメリカに家族とともに逃れた。
そこで彼が目にしたのは20世紀の新しい社会原理として登場した組織、巨大企業だった。彼はその社会的使命を解明すべく、研究対象となるアメリカ大企業に協力を呼び掛けていた。 ドラッカーは著書『マネジメント』で、従来の全体主義的な組織の手法を改め、自律した組織を論じ、 前書きにおいて「成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に代わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手立てである」と述べている。 またドラッカーの思想は、組織や企業経営の分野にとどまらず、個人のプロフェッショナル成長の分野にも及んでいた。いわゆるナレッジワーカーが21世紀のビジネス環境で生き残り、成功するためには、「自己の長所(強み)」や「自分がいつ変化すべきか」を知ること、そして、「自分が成長できない環境から迅速に抜け出すこと」を勧めていた。新しい挑戦こそが、プロフェッショナルの成功に貢献すると主張していた。 余談だが、ドラッカーには、日本の古美術コレクターとしての側面もあり、自身により「山荘コレクション」と名付けられている。 |