バランススコアカードとは?

バランススコアカードとは、キャプランとノートンが1992年に提唱した新しい経営戦略と経営管理の手法です。広義な意味では経営戦略の一つですが、狭義な意味では企業のもつ重要な要素が企業のビジョン・戦略にどのように影響し業績に現れているのかを可視化するための業績評価手法となります。

従来の財務分析による財務の視点(業績評価)に加えて、顧客の視点(企業からみるお客様、お客様からみえる企業)、業務プロセスの視点(製品のクオリティ や業務内容に関する視点)、人材の視点(企業のもつナレッジ(アイディア、ノウハウ)や従業員の意識・能力の視点)を加味した評価を行なうことで、 企業のもつ有形資産、無形資産、未来への投資などを含めた今を総合的に評価します。

バランススコアカードの4つの視点の測定指標例

視点 測定指標(例) 目標値(例)
財務の視点 直接コントロールができないもので、ほかの項目の影響を受けて結果的に向上するもの。KGIに用いられる  売上高

営業利益

営業利益率

 200億円

5億円

20%

顧客の視点 顧客満足度向上。製品やサービスへの顧客要望に応える。最も財務の視点に影響  マーケットシェア

新規顧客獲得数

顧客満足度

22%

20社

4.5ポイント

業務プロセスの視点 業務プロセス改善。イノベーション、オペレーション、アフターサービスなどプロセス最適化を図る  新製品投入数

不良率

保守時間

10製品

0.1%以下

10時間以内

人材の視点 企業としての能力を向上。社員の能力、モラル、風土などを向上させ即効性はないが長期的な競争力を育む  従業員満足度

資格取得者数

従業員定着率

5ポイント

100人

10年80%

上記の例では、「マーケットシェアが22%あり新規顧客獲得数が20社あれば財務の視点である200億の売上達成の確立が高いことを示している。さらに新規顧客獲得を20社行うためには顧客満足度を高める必要がある。」と仮説をたて定義づけている。このようにバランススコアカードは、測定指標が独立したものではなく、学習と成長の視点以降のそれぞれ測定指標が繋がりが結果的に財務の視点の数字に影響していることを示している。

■バランススコアカードのインフルエンスダイアグラム(影響要因図)例

バランススコアカード活用例

風が吹けば桶屋が儲かる論理思考(風が吹くと土ホコリで目を患い盲人が増える。盲人は三味線を弾くので猫の皮が必要になり猫が捕獲される。猫がいなくなると鼠がのさばり、桶をかじる。桶の需要が増えて桶屋が儲かる。)に非常に類似しているバランススコアカードの四つの視点の活用例を、人材(ヒト、知恵)→業務プロセス(モノ、手段)→顧客(キャク、目標)→財務(カネ、目的)で具体例を挙げ見てみたいと思います。

<石油会社の例>

視点 戦略目標 重要成功要因 業績評価指標
財務の視点 収益性向上 ガソリン以外の収益源向上 ガソリン以外の売上高
ガソリン以外の利益
生産性向上 業界でのコスト・リーダーシップの確立 業界他社と比較した1ガロンあたりコスト
既存資産の最大活用 事業計画に比較したキャッシュフロー
顧客の視点 顧客満足 清潔
安全
高品質
ブランドの信頼性
覆面買い物客による評価
ターゲットとする顧客
セグメントの市場占有率
ディーラーとの相互満足 ディーラービジネス・スキル向上の支援 ディーラーの利益性向上度
ディーラー満足度
業務プロセスの視点 顧客価値の創造 顧客セグメントの理解 ターゲット市場の占有率
最適なフランチャイズの組織化 ディーラーの質評価指標
卓越した業務 設備稼働率の向上 予期せぬ設備休止時間
納期の厳守 遅延回数
在庫管理の向上 在庫水準
在庫切率
学習と成長の視点 前向きな組織風土 企業目標と個人目標の整合性、個人の成長 従業員の目標設定とフィードバック
従業員のコンピタンス(技術や能力) 従業員能力アップ
リーダーシップ力の強化
従業員の総合的視野の育成
戦略的業務装備率
技術のインフラ 業務プロセス促進の為に新技術の導入 戦略的情報システム装備率

※業務プロセスにおいては、オペレーション・エクセレンス状態を目指す

参照元:経営戦略立案プロセス

※ITエンジニアの考える経営戦略プロセスについて解説

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