EA(Enterprise Architecture)とは、1987年にザックマンにより発表されたザックマンフレームワークが基に作成された、業務とシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムを同時に改善することを目的とした、組織の設計・管理手法です。全体最適化の観点からITガバナンスを強化し、経営の視点かIT投資効果を高めるために利用します。
EAのフレームワークにはさまざまありますが、経済産業省が主導して導入したフレームワークが日本ではよく用いられます。以前はEAポータルサイトとして経済産業省が公開していたが現在閉鎖されています。しかし、インターネット国立図書館で閲覧可能なので、興味ある方は、検索してみてください。その経済産業産業省のフレームワークでは、EA導入の狙いと役割、策定手順について、以下のように纏められています。
EA導入の狙い(メリット)
- 現状を明確化し改善することで、IT投資の合理化・効率化
- 理想像を共有することで、高度なサービス実現
- 理想増に至るプロセスを共有することで、統合化・合理化がスムーズに進捗
EAの役割
- 業務とシステム間の関係と現状を明確化
- 現状から理想に至る活動を明確化、改善サイクル確立
- 情報資産と業務との関係を明確化
- 長期的な設計思想と技術の世代管理に関する指針を示す
EAの策定手順
- EA成果物策定の前提作業
最適化に関する組織目的と原則(Mission & Principles)を決定する。 - EA成果物の策定作業
EA成果物の策定Ⅰ : 現状(AsIs)モデル分析
政策・業務体系分析及びデータ体系分析を行い、業務の現状を明確化する。
適用処理体系分析及び技術体系分析を行い、システムの現状を明確化する。
EA成果物の策定Ⅱ : 理想(ToBe)モデルの設計・策定
組織目的と原則を踏まえつつ、定められた方法論に則り、目指すべき業務・システムの姿、及び、長期的な設計思想を決め、それらに即した理想(ToBe)モデルを策定する。
EA成果物の策定Ⅲ : 次期モデルの設計・策定
理想(ToBe)モデルと現状(AsIs)モデルを対比させつつ、現実的な次期システムの導入目標を決める。 - EA成果物の改訂 及び 参照モデルの開発
EAを利用しつつ実際に個々のシステムの基本設計、開発を進め、併せて、EAとして修正すべき点を確認する。
EA成果物を徐々に修正しつつ、関連する参照モデル(Reference Model)の策定を急ぐ。利用の結果わかった 問題点や、その途上で収集された情報を参照モデルに取り込み、参照モデルをより充実した知的資産ベースとする。
経済産業省の例でみるEAフレームワークイメージ
■EA策定に使う業務タイプ、データタイプ、アプリケーション構成、技術などを広範に収集・整理し、EAの開発者が参照できるように整えたものが参照モデル体系イメージ
■理想(ToBe)モデルと現状(AsIs)モデルを対比させつつ、現実的な次期システムの導入目標を設定し、さらに改善サイクルも確立
■EAにおける成果物例
参照元:代表的な情報戦略
※情報戦略とは何か?という問いへの解説と代表的な情報戦略を紹介